続・魔法の使えない魔女

病気になって、辛くて、悲しくなって、
魔女はひとり落ち込んでいました。

そんな時、魔女は、思い出しました。
「そうだ!病気を治してくれる魔法使いのところに行こう!」と偉い魔法使いのところに行きました。

すると、その魔法使いからは、
「わたしにはあなたの病気は治せないよ。他の魔法使いのところに行くといい。」
そう言われたのです。

そうして他の魔法使いのところに行くと、
「わたしにもあんたの病気を治す魔法はかけられないよ。病院に行ったらどうだい?」

そう言われたのです。

そこで魔女は思ったのです。
「わたしはなんで魔法が使えるようになりたかったんだろう?

困った人を助けるために魔法を使いたいと思っていたのに、
今困っているわたしは、魔法には助けてもらえないなんて・・・

もし・・・もしわたしは魔法を使えるようにならなくて良いとしたら?

わたしは何がしたいんだろう?

もし・・・この病気が治らなくて死んでしまうとしたら・・・
わたしはどうしたいんだろう?

そんなことを考えました。

魔女は生まれて初めて、
「もしかしたら・・・魔法が使えなくてもいいのでは?」と考えたのです。

魔法を使えるようになるためにがんばらなくて良いとしたら、どうしたい??

その時浮かんだのは・・・

「もっと大事なひとと楽しく過ごしたい」
ということでした。

そう、魔女は本当は、
魔法が使いたかったのではなく、
「大事な人と笑って楽しく過ごしたかった」だけなのです。

だとしたら・・・?

魔女が大事に思うひとたちは、
魔女が病気だったり、幸せじゃないと悲しみます。
なにより・・・
どんなに大事な人と楽しく過ごしたくても、
体調が悪かったり、落ち込んでいたりしたら、
楽しく過ごせない、と気づいたのです。

大事な人と過ごす、
大事な時間は、
永遠に続くものではありません。

大事な人と楽しく過ごしたいからこそ、
魔女は「自分を大事にしよう」
そう思ったのでした。

魔女はついに魔法を使うことを諦めました。
わたしはわたし。魔女じゃなくていいそう思ったのです。

そして、今日からは自分を大事にして、大事な人と笑って楽しく過ごそう!そう決めたのです。

自分の「こころ」と「からだ」に耳を傾け、日々ひとつずつ過ごし方を見直していきました。
小さなことからコツコツとそのように自分の声に耳を傾けるようになると、
「あぁ、我慢してたんだね」
「無理させちゃってたね」
ということに気づけるようになりました。

すると・・・
不思議なことに魔女の体調は少しずつ良くなっていきました。

つづく